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■基本種と園芸種について


 ヘザーといわれる3つの属にはそれぞれ基本種というものがあり、主にヨーロッパとアフリカ地中海沿岸部、南アフリカ(ここではそれぞれの基本種がごく限られた地域に点在していることが多い)に分布しています。こうした基本種をもとに、人工的に交配され作出されたものが園芸品種です。それだけに、美しいものが多いと思います。
 私たちが生産したり、購入したりするものはほとんどが園芸品種なのです。自生するところにいけば基本種が、決して派手さのない容姿で出迎えてくれることでしょう。
 そこで、ヘザーについてより理解を深めるために、基本種の種類、分布そして北海道における耐寒性などについて説明します。
 (なお、基本種と園芸品種の違いについて、より詳しい説明は
こちらをご覧下さい。)

■エリカ属の基本種


和名:
英名:





独名:

(種によって様々)
エリカ属:Heath
エリカ・カルネア
Winter Hearth/Snow Hearth
エリカ・テトラリクスCross-Leaved Heath
エリカ・キネレアBell Heather
エリカ・ウァガンス:Cornish Heath
など

Glockkenheide(グロッケンハイデ)

 エリカ属は、世界に700種以上あると言われますが、原産地をみると、南アフリカ産がほとんどで、ヨーロッパ原産のものは20数種しかありません。その中でも北海道内で植裁が可能な基本種は、わずかに数種しかないと、本園での栽培で確認されています。どのような園芸品種を選定するのかは、その基本種もふまえた上で行うことが望ましいと思います。
 ここでは本園での栽培実績による、北海道(札幌近郊が基準)で植裁可能な基本種を説明いたします。今のところ、次の5種(
参考分布図のエリカは4種)がエリカの基本種として北海道の屋外で植裁可能と考えられます。

(1)Erica carnea(エリカ・カルネア)
 俗に春咲きエリカとも呼ばれ、北海道では雪解けとともに開花します。樹高は30cm位にしかならないので、植裁後のメンテナンスを考えると、利用しやすい種といえるでしょう。

(2)Erica tetralix (エリカ・テトラリクス)
 エリカの仲間では、ヨーロッパで最も北部に分布し、性質は強健です。ただし成長がやや遅いので、グラウンドカバーとして利用するには、被覆に時間がかかります。夏(7〜8月)に開花します。
(3)Erica vagans(エリカ・ウァガンス)

 夏から秋にかけて開花し、長い花期と花の数が多いことに特徴があります。無剪定では、樹高がやや腰高となりやすいのですが、成長は非常に速く、横に広がる樹形も美しいので低い生け垣等にも利用できます。

(4)Erica cinerea(エリカ・キネレア)
 ヨーロッパ原産のエリカの中では、花が最も美しい種なのですが、耐寒性にやや劣り、植裁場所はかなり限定され、冬期間雪が積もっていることが必須。7〜8月にかけて開花します。

(5)Erica ×stuartii(エリカ・スチュアルティー)
 エリカ・マッカイアナ(E. mackaiana) とエリカ・テトラリクスの交雑種で、海外の文献では寒さなどには弱いとされていますが、実際は耐寒性に非常に優れ、性質も強健です。


■カルーナ属の基本種


和名:
英名:
独名:

ギョリュウモドキ
Heather/Scotch Heather/Lin/Lingなど
Besenheide / Heidekraut

 カルーナ属は、Calluna vulgaris(カルーナ・ウルガリス)*のみの1属1種。常緑低木で、耐寒性はきわめて強いのですが、逆に高温多湿に弱いという欠点もあります。カルーナは葉は、ギョリュウ(Tamarix chinensis )に似るところから、ギョリュウモドキという和名があります。リンネの時代にはエリカ属の一種とされていましたが、花と葉がエリカと違うので、後にカルーナ属として分離されました。カルーナはもともとヨーロッパから小アジアにかけて分布し、今では北アメリカにも帰化しています。属名のカルーナは、ギリシャ語「kallunein」の「掃く」に由来し、昔はその枝から箒(ほうき)が作られたことから名付けられました。

*(注)Calluna vulgaris はカルーナ・ウルガリスと読みます。ブルガリスではありません。

■ダボエキア属の基本種


和名:
英名:

独名:

(特になし)
ダボエキア・カンタブリカ
Irish Heath
ダボエキア・アゾリカ:Azores' Heath

(特になし)

 ダボエキア属(Daboecia)は世界に2種あります。
(1)Daboecia cantabrica(ダボエキア・カンタブリカ)
 アイルランドからヨーロッパ西部に分布し、大きな花冠と、夏から秋にかけての長い花期が特徴です。

(2)Daboecia azorica(ダボエキア・アゾリカ)
 ダボエキア・アゾリカはアメリカのアゾレス諸島のピコ島高地に自生しますが、耐寒性はありません。




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