市民園芸講座目次 >1994年

庭木の国際交流

 ここ数年前から、イギリスなどではギボウシ(ホスタ: Hosta )が静かなブームとなっていて、実に多くの園芸品種や原種が販売されているようです。もともとは日本などから導入し、そこで品種改良されたものもあります。日本ではあまり見向きもされなかったような樹種を、プラントハンターと称する海外の園芸家たちが自国に持ち帰り、他の原種や園芸品種と交配したりして様々な品種を作り出してしているのです。そうしたものにハイドランジア(アジサイ属)、エクスバリーアザレア(レンゲツツジと他のツツジとの交配)、刺があって一般の人から嫌われるメギ、早春に鮮やかな黄金色に染まるレンギョウなど実に数多くの樹種があげられます。

 日本で作り出されたサクラ、モミジ、ツツジ、シャクナゲの園芸品種は、諸外国から高く評価され一般にも販売されています。ある人が海外旅行をしたときのこと、見事な花を咲かせている木を見つけ、胸をときめかせ近づいてみるとなんと日本のサクラだったとか。また私たち北国の人なら誰でも知っているナナカマドは紅葉がすばらしいだけでなく、うっすらと雪化粧をした赤い実は鑑賞価値があり、食料の乏しい冬の間、野鳥の餌になったりして欠かすことの出来ない樹木です。世界にはこのナナカマドの種類が数十ほどあり、様々な実の大きさや色のものがありますが、日本のナナカマドが最もきれいに紅葉すると言われています。これは樹木自体の特性でもあり、北海道の気象条件がそうさせているといえます。ところでロシアなどではナナカマドの実からジャムや果実酒をつくるそうで、よし私たちもといってその辺から採取した実を使っても渋くてあまり美味しくはないでしょう。それもそのはず、ナナカマドの種類が違うからです。

 また盆栽については、そのまま Bonsai という英語になっていて、諸外国の園芸ファンのなかでも根強い人気があります。園芸カタログの中にBonsai というコーナーがあるくらいです。

 このように、日本のすばらしい花や木は海外へ、美しい海外の花や木は日本へと簡単に入ってくるようになってきました。ただ気を付けなければならないことは、植物検疫という手続きを受けなければ海外から国内に植物を持ちもめないのです。旅行カバンにそっと忍ばせて、などといったことは行わないようにして下さい。たちの悪いウィルス、害虫の卵、雑草の種や残根がある可能性があります。自分の庭どころか、果樹園などの園芸農家、さらに被害が拡大すると国内全体に蔓延することがあります。特に果樹苗木など定められた種類があり、これらはおおむね1年間の隔離栽培をうけて異常がないものについてのみ私たちの手にはいるのです。(1994年春)


有限会社 川原花木園