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岩見沢市の木・キタコブシ

 北海道全域でみられる木で、山の斜面、川沿いのところにもよく生えていて、ホオノキ、ヤチダモ、シラカンバ、ミズナラなどと混じっていることが多いそうです。木は軟らかく軽いので、ホオノキと同じように器具、彫刻、木炭などに使います。高さ二十m、直径五十cmほどになる大木で、太い枝は少なく、短い細枝が多くて折れやすい。花は大きくて白く、花びらは六枚あるように見ますが、外側の3枚は萼で、ほんとうの花びらは三枚です。四月末、葉が開く前に花咲き、九月に実ができ、赤い果肉はなんともいえない芳香を放ちます。エゾヤマザクラより早く咲き出し、岩見沢周辺の野山にはよくみかけます。春霞のなかにひときわ目立つ白い花は実に印象的です。アイヌ語でオプケニまたはオマウクシニといってたいへん親しまれてきた木でもあります。



 本来、北海道の野山に自生しているものは正確にはキタコブシといい、本州のコブシの変種になります。私にはその違いがわかりませんが後者は若干耐寒性に劣ると思われます。いずれも植物分類学ではマグノリア属の一種で、ハクモクレン、モクレン、ホオノキ、タムシバ、シデコブシ、タイサンボクと同じ仲間です。正確なことはわかりませんが、被子植物のなかでは最も古い時代から存在していたようです。

 またこれらマグノリアの仲間は尊い植物とされ、仏教の教えのなかにしばしば登場します。これと直接は関係ありませんが、ヒマラヤ、ネパール原産のマグノリア・キャンベリーは「マグノリアの王様」といわれ、巨大な濃桃色の花を咲かせる園芸品種もあります。まさに花木の王者とも言うべき種類です。残念なことに、北海道はもとより日本には気候的に適するところがなく、国内ではみることが出来ません。

 日本において、コブシは農作物の収穫を占ううえで重要な役割を果たしてきました。東北地方などでは「コブシの花の少ない年は凶作」、「コブシの花が上を向いて咲くと豊作」と言い伝えられてきたそうですが、隔年結花の傾向があるので必ずしも正しい表現とはいえないようです。

 コブシは直根性の木で、移植が難しく、大きくなるので一般家庭向きではありません。そこでコブシを台木にして接いだハクモクレンなどがよいでしょう。花はコブシとは異なりチューリップのような姿で美しいのですが、香りがありません。芳香のある「ワダスメモリー (Wada's Memory)」という園芸品種がありますので、一度試してはいかがでしょう。またアメリカ東部には黄色い花を咲かせるマグノリア・アクミナータという基本種があります。とても北海道では育たないと思っていたのですが、日高のある個人の庭で見事な花を付けているそうです。さらに由仁町のある工場の敷地にサラサモクレンの大木があり、それはすばらしいものでした。こんな木が私たちの住む岩見沢でみることが出来たらと思います。(1998年春)


有限会社 川原花木園