北国のみどり情報局
随想「四季雑感」
有限会社 川原花木園
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第三話 ヒシクイの悲しみ(1)

 春を感じる光景には、ネコヤナギの花が最適です。葉が出るよりも先に開いてくる花は、かわいらしい綿毛のようで、猫のしっぽに似ていることから、ネコヤナギと名付けられました。同じヤナギの仲間で、コリヤナギというヤナギもあります。コリヤナギは朝鮮半島に自生し、1700年後半頃、日本に持ち込まれて、柳行李(やなぎごうり)の材料になったことで、その名があります。ここまでは納得が行く和名なのですが、さらにイヌコリヤナギが登場してくると状況が変わります。イヌコリのイヌは、直接動物の犬を指すのではなく、コリヤナギに似ているけれど、役に立たないという意味で、イヌコリヤナギとされたのです。植物に限らない話なのですが、生き物の命名の仕方で、わかればいいという少々愛情に欠けた付け方を目にするのは、残念でなりません。


川縁のヤナギは春一番の風景

イヌコリヤナギの開花



 3月から4月にかけて、早来町周辺の畑に現れる鳥の集団がいます。全体に黒っぽく見える大きめの姿は、調べてみると、マガンに似た「ヒシクイ」という鳥のようなのです。菱(ひし)は一年生の水草で、日本各地の池や沼に生育し、秋に角のようなとがった刺のある堅果を結実します、その中に食べられる実が入っていますが、ヒシクイはよくもあんな堅い殻をついばむことができるものだと感心してしまいます。菱を食べることから「ヒシクイ」と名付けられたこの鳥は、俗に言う渡り鳥で、夏はユーラシア大陸で過ごし、冬場に北海道にも立ち寄るそうです。英名が Eastern Bean-Goose で和名が「ヒシクイ」と非常にわかりやすいのですが、なんとなくさびしげに見えてしまう名前を戴いてしまいました。


ヒシクイの今日の朝食はデント・コーン

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