北国のみどり情報局
随想「四季雑感」
有限会社 川原花木園
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第五話 色っぽい話(5)

 「美しく紅葉(黄葉)する」ためには3つの条件が必要とされます。1)気温(最低気温が5から8度位で日較差が大きいこと)、2)湿度(適湿であること)、3)光(紫外線が強いこと)の複雑な相互条件が重なり合って、美しい紅葉が楽しめるようです。特に紅葉に欠かせない「アントシアン色素」の合成には、光と温度が密接に関わりあっていると言われ、日中の天気の悪い年は、紅葉がくすんでしまいます。



札幌ドームを望む黄葉するシラカンバ
(Betula platyphylla var.japonica)



ハウチワカエデ(Acer japonicum )の濃さの違い
1本の木から採取


 その他紅葉の不思議として、市街地の公園や街路樹が、近くの自然林よりも先に、紅葉が進むことがあります(気温のことだけ考えれば、自然林の方がはやく紅葉します)。これは樹木が栄養や水分の不足で危険を感じ、落葉させようという命令が、自身の「気温センサー」の情報よりも優先させたため、はやい落葉を選んだと考えられます。また一本の木の中でも、場所により紅葉の順番があるようで、多くの種は枝先の方から紅葉を始めますが、シラカンバのように内側から色づくタイプも見られます(開葉の仕方と関係があるといわれます)。



外側から紅葉するカエデ属


 以上のように、紅葉のメカニズムはかなり解明されてはいるのですが、実際の庭や公園にあるモミジを、例外なく赤く色づかせたいと思っても、その再現はまだ難しそうです。それでもどうしてもとこだわる方は、濃紅色に紅葉するオオモミジ系の品種(来歴は不詳)「大盃」(おおさかずき)や、ルブラムカエデの園芸品種「レッドサンセット」などを選択するという方法が無いわけではありませんが・・・。



ほとんど例外なく紅葉するといわれるルブラムカエデの園芸品種
「レッドサンセット」(Acer rubrum 'Red Sunset')



「秋の夕日に照る山もみじ、濃いも薄いも数ある中に、松を彩る楓や蔦は、山のふもとの、裾模様」童謡「もみじ」に歌われる詩は、とても細やかな表現力で、紅葉の美しさを伝えてくれます。もしかすると一枚の写真よりもリアルに、その情景を見せてくれるかもしれません・・・。とは言っても、歌われるような自然風景を、我々がきちんと守っていかなければ、この詩のすばらしさも後世に残すことができないでしょう・・・。珍しければなんでも作ってしまう現代社会では、様々な花色、葉色の植物が生まれてきています。「あなたの本当の色は何?」と聞きたくなるような世界が広がりつつあります。確かに「花色の好み」などは個人差が大きいですし、流行もあるのでしょう。しかし「紅葉する銀杏」だけは発表されないことを願うのは私だけでしょうか・・・。



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