萩尾望都 第二期作品集 6巻目、「Ray Bradbury」の短編集をコミックス化したもの。表題作と巻末は、宇宙船乗りへの憧れと地上に残った家族の嘆き。他の作品もファンタジック、ミステリアスなものばかりです。
毎年数十億人の中から一万人が選抜され、その中から八年後に三千人だけが宇宙飛行士になれる。毎週仲間と宇宙船の打ち上げを見に行く少年は、ある日突然訪問を受け人知れず旅立つ。
裏の空き地から女の人の悲鳴が聞こえる。穴を掘って確かめようとしたり人に尋ねたり、でもみんな信じてくれない。そのうち哀しげな歌まで聞こえてくる。
陸から離れた小さな島に石造りの灯台がある。霧の深い夜などは霧笛が不思議なものを呼び寄せる。年に一度の特別な日にそれは訪れる。去年は遠巻きに巡って、今年はついに・・・ 巨大な恐竜だ。
夏の終わりの誰も居なくなった浜辺、ここで帰らぬ人となった彼女に思いをめぐらす。彼もまたこの地を去らなければならない。歳月が過ぎ再びこの地を訪問した最後の日、変わり果てた姿の彼女と再開する。十年間も水の底に眠っていたという・・・。
或る日届いたきのこの小包、久々に合ったボーイフレンドの奇妙な態度、何か変わった事が無いか気をつけろという。子供たちはみな地下室できのこを育てるのに夢中になっている。
30年に一度のハロウィンの夜に集うバンパイア達、一家の末っ子ティモシーは血も闇も怖くてまだ何も出来ない。
鍵の掛かった部屋が100以上もある大きな屋敷に母と娘と教師が住んでいる。窓の外の森の向うで世界は終わっているという。誕生日ごとに部屋の鍵が開けられ自由に入れる部屋が増えていくが、或る日突然母が倒れ教師も姿を見せない。少女はおびえながらも外の世界に飛び出す。生まれてから一度も外へ出たことが無かったそこは別世界。
三ヶ月に一度宇宙船乗りの父が帰ってくる。つかの間の家族で過ごす楽しいひととき、でも四日目の朝にはまた宇宙へ出かけてしまう。そのたびに嘆き悲しむ母。或る日不意に届く不吉な知らせ、宇宙船が太陽に落ち父は帰らないという。母と子にとってその日から太陽を見る生活は無くなった。