ジェイムス・P・ホーガン
DECのセールスエンジニアを経てSF作家になったという異色の経歴、そしてコンピュータ業界で有名大学や研究所の人達との交流から得た資産をフルに活用した作品内容。SFを読まない(推理小説系の)人にも文句無しで進められる幅の広い構成。解いても解いても次々湧き出る謎。既存の科学技術に沿い、更にその先を行くSF設定、発明、発見、まさに「センス・オブ・ワンダー」です。
処女作「星を継ぐもの」と、「ガニメデの優しい巨人」「巨人たちの星」の三部作では、未知との遭遇と異星文明との交流を書き、次回作「創世記機械」では、新発明で世直しを行い、「未来の二つの顔」では、人工知能と人間社会との関わりを書き、「造物主の掟」では、放置された機械生命体との再遭遇を書き、「未来からのホットライン」では、SF作家には避けて通れないタイムパラドックス物を書き、「終局のエニグマ」では、作られた偽の環境下でのなぞ解きを書き、「プロテウス・オペレーション」では、今度こそ本格的に時間旅行物を書き、「断絶への航海」では、機械育成された宇宙植民地とのジェネレーションギャップを書き、「ミラーメイズ」では、ちょっと毛色の違うハイテク産業がらみのビジネス物風のものまで書いています。
そして、共に前作から十年と言う長い期間を経て出版された造物主の掟の続編「造物主の選択」と、星を継ぐものシリーズの続編内なる宇宙」人間の精神の分野までも足を踏み入れ、バーチャルリアリティもしっかりと抑え、その上でさらに新たな世界を開拓しています。
どの作品もそうですが、ハイテク最先端技術と個人と社会との関わりが共通したテーマとなっているように感じます。
既存の翻訳済みのもので未読の物もありますし、さらにこの後も新刊が出ているようです、いずれ入手の予定です。
James P. Hogan
ジェイムス・P・ホーガン
創元推理文庫、創元文庫
星を継ぐもの
ガニメデの優しい巨人
巨人たちの星
創世記機械
未来の二つの顔
造物主の掟
未来からのホットライン
終局のエニグマ
プロテウス・オペレーション
断絶への航海
ミラーメイズ
内なる宇宙
造物主の選択
量子宇宙干渉機