Radioそう、無線です。仕事の中で行う業務無線とは違い、個人が趣味の上で行う通信のことです。
正式な資格試験を経て、郵政大臣の(最近では電気通信管理局の局長名らしいです)名前で終世有効な免許証が交付され、それを元に開局の申請をして「コールサイン/免許状」の発給を(こちらは5年間有効)受けます。ここまでして晴れて電波が出せる訳です。最近は国家試験と言われていたものも実施主体を外郭団体に移し、回数も増えて受験しやすくなりました。また、それ以前から講習会と言う制度も有り、大都市以外の普通の街で一週間程度の短期間の集中講習の後試験を行うと言う更に身近なものも有ります。
資格試験と言っても 択一式であまり難しいものでは有りません。小学生からおじいちゃんおばぁちゃんまで、沢山の人が合格しています。興味をお持ちの皆さんもどんどんチャレンジしてください。
例えば私のコールサインはJI8STHです。このコールサインは、全世界的に見てただ一つしかありません。業務、アマチュアを含めて重複する事は有りません。例えばそのコールサインの持ち主が世界のどの国のどの辺の人なのかも大体分かります。
以前は首都圏でのコールサイン不足のあおりで再割り当ての為に昔に失効したコールを再開局時に割り当ててもらうことは出来ませんでしたが、現在では一部の例外を除いて再割り当てを受けることが出来ようです。
ひょっとしてこれを読んだ方で以前に局免許を流したままの方、従事者免許の方は終身有効です。昔のコールも復活できます。また初めて見ませんか?。
大きく四種類に分かれています。 昔は 1級、2級、電信級、電話級とありましたが、現在は
私の場合は、一番下の 4級、正確には取得は大分昔の為、免許証には 電話級 と書かれています。以前はこの級の制限はかなり厳しいものでしたが、現在は規制緩和の恩恵によりとても緩やかなものに成っています。例えば私が主に行っているパケット通信にしても、その昔は2級以上の資格を要したのでした。
とてもいろいろな楽しみ方が有ります。通信方法は主に音声通信、電信(モールス符号)、データ/画像通信などが有り、それぞれに自宅などに腰を据えて行うもの、あるいは屋外に出て高い山の上から行うものなど様々です。普通に飛んで行く電波、山などで反射する電波、あるいは積極的に人工衛星に中継させる電波、はたまた遥か彼方の月に反射させての通信など普通には考え付かない方法も有ります。
なんと言っても一番身近なのは、車や自宅からの仲間との音声通信でしょうか。この場合に使う周波数は数キロから数十キロしか普通飛びませんしアンテナなども小型で済みますので近距離通信には最適です。また、専用の中継装置を設置している場所(周波数)も有り、この場合は手に持てる小出力の機械で比較的遠くと話す事も可能です。
仲間内との通信も楽しいですが、簡単な設備でも思わぬほど遠くまで飛ぶ事も有ります。各周波数帯には呼び出し専用の周波数(チャンネル)が有り、沢山の人が聞いています。通信相手を限定せずどなたでも応答してくださいと呼びかけると、知らない人との新たな出会いが有ります。
これが海外まで比較的楽に飛ぶ短波帯ですと多少の言葉の壁は有りますが、世界中の人との出会いが有る訳です。もっとも現在はインターネット上でも同じ事が出来るように成ってしまいました。しかも場合によっては動画でも楽しめてしまいます。例えばプロバイダや回線が込んでいてうまく繋がらないなどではなく、自分の設備で、自然のコンディションの変化に対応し、直接対話できるのはまた格別な魅力が有ります。
海外まで楽に飛ぶ短波帯、近距離向きの超短波帯、光の性質に近い極超短波帯などが有ります。
HF :短波帯、 一番下は中波のラジオ放送のすぐ上に、各短波ラジオ放送の近くにもそれぞれ有ります。ラジオ放送を聞いていると分かりますが、時間帯や季節により飛びやすい距離と方向がめまぐるしく変わります。この変化を読み取り成るべく遠くの人と、また、チャンスが少ないアマチュア無線人口密度が低い地域との交信をねらう訳です。
VHF/UHF :超短波帯、 FM放送の下の方、テレビ放送の近くの周波数に割り当てられています。アンテナの大きさを見ると何と無く分かりますね。この周波数は普段はあまり遠くまで飛びませんが、特に夏場などに思わぬところが聞こえてきます。例えば北海道と九州の間で交信できる事も有ります。
SHF :極超短波帯、 おなじみの携帯電話の上の方、電子レンジの周波数の(これも電波です)近く、更に車に乗る人には脅威のスピードレーダーのすぐ側にも割り当てが有ります。もっとずっととても高いところにも割り当てが有りますが、プロでもあまり使っていないところも有りますのでアマチュアでは尚更の事でしょう。この辺の周波数は直進性が非常に強くあまり遠くまでは届きません。その代わりとても広大な帯域が使えますので、低い周波数では帯域を食い無理だったディジタルデータ通信が可能に成ります。(低い周波数でも帯域の狭いスピードの思いっきり遅いものは可能)
画像通信
主に画像のアナログ信号を直接電波に乗せる方法です。短波帯でも出来るSSTV やテレビ放送と殆ど同じな FSTV が有ります。
特に SSTV はその昔は暗くした部屋で長残光の特別なブラウン管を使い、始めの方が消えかかるのに耐えながら交信していたのです。ハードコピーなどはまた夢で、ただ画像の記録だけはほぼ音声信号に近いのでテープに録音する事で出来たようです。この時代一枚の絵の電送に数秒から十数秒かけていました。(128*128程度の解像度、あまり長いと管面から消える)
後にディジタル技術を活用し、いつまでも消えない絵が出せるように成り、手書き文字のテロップもコンピュータで生成し、更に近年では初期のパーソナルコンピュータ程度の解像度ながらフルカラーの絵が伝送できるようになりユーザーが増えています。流行のデジカメを使えば写真のような絵が、カラープリンタを使えば見た目の通りのハードコピーが、多量の画像の変換加工保存、さらには周辺装置のコントロールにはコンピュータが活躍しています。伝送時間は画像の複雑さが増した分長いもので90秒くらいでしょうか。
この項目が実は本題でして、コンピュータとアマチュア無線がネットワークとして有機的に結合できる唯一の方法です。物理的にはインターネットとも融合できるのです。
そうそう、パケットとは小包の事です。データを小さな小包に分割し、それぞれに宛先を付け伝送する。多少順番が狂ってもちゃんと再構成できますし、壊れたものが有ってもその部分だけを再送すれば良いのです。実はこのインターネットの世界で行われている事と全く一緒なのです。
その昔は有線用のモデムを流用し、その入出力を直接無線機へつなぎコンピュータのプロンプトが(テキストだけの画面です)直接出るものもありました。専用の無線モデムとも言うべき物(TNCとも言います)が開発され、伝送手順も(AX25プロトコル)定められ、TNCに簡易メールボックスの機能が搭載し始めた頃から大きく普及したようです。
程なくコンピュータ上に有線 BBS のようなプログラムを開発され、各地でにぎわいました。TNCにはリアルタイムでパケットを中継する機能も備わっていましたので、直接電波の届かない場所まで出向いて覗きに行く事も可能でした。
そうなると遠くでにぎわっている面白い事が気になりますね。中継をいくつもくぐって覗きに行くにも限界が有ります。混んでいたりすると繋がりませんし、中継自体も旨く行きません。そこでお互いにデータを転送し合えば向こうでもこちらでも楽しめます。はじめは限定された転送だったでしょう。転送の方式も合わせなければなりませんし、マルチタスクなども大変な時代では転送の時間、ユーザに開放する時間と分けてみたり・・・
更に限定した範囲では無くなるべく多く、全国で転送し合おうと言う方向に向かいます。その答えはどうやら海外からもたらされたようです。インターネットの発祥の地アメリカではやはりパケットに関しても進んでいてW0RLI(作者のコールサインでも有ります)と言うソフトがあっという間に広がりやがて全国規模の、そして全世界規模のネットワークが出来上がるのです。そして初期のコンピュータではあまり問題が起きにくかった(元々出来なかった)日本語表示などの問題が出てくると、これと互換を持ち特色を加えたソフトが国内でも開発され徐々に置き換わってきます。さらにはフランスからはF6FBB と言うソフトも登場します。
しかし、それらのソフトのそっけないユーザインターフェースではなく有線BBSのように日本語でのメニューなどの特色を持ち転送形態も違うソフトの別なネットワークも出来るように成りました。どの方式も電波が飛ぶ範囲が限られる為、基本的に隣から隣のバケツリレー方式で端まで行き渡るには時間は掛かりますが確実に伝わると言うものです。
そして他の方式とは別にこのインターネットで使われているTCP/IPを持ち込んだグーループが有ります。全くそのものです。違う事と言えば、スピードと帯域幅が少ないだけです。ネットワークに携わる人は多分聞いた事のあるKA9Q(もちろん作者のコールサインです)パッケージを元にしたソフトから始まりました。TCP/IPの全てのプロトコルが可能です。ただ、大きなデータやリアルタイムを要するデータの伝送に難が有るだけです。このインターネットとも接続する事は可能です。日本では第三者通信などの問題により制限されていましたが現在ではやや制約はあるものの可能になりました。遠隔地からの自分の家のサーバーへのアクセスや、更にインターネットへのアクセスも可能です。なかなか面白いことが出来そうです。